小学校の音楽科の指導を考える

小学校の音楽専科は専門に音楽を学習されていない教員が指導することが多い。また専門的に音楽を学んだ教員も、合唱指導や合奏の指導、吹奏楽や金管の指導に自信が持てない教員も見受けられます。このブログでは音楽科の指導法のノウハウを共有するために書かれます。

合奏の音取り

 

楽譜を読めない児童・生徒に器楽を指導するのは大変な労力が必要です。

 

パート練習でキーボードで音を出しながらの指導、

これはパートリーダーが楽譜を読めたりしっかりとそのパートを演奏できる技量が有るならば任せることが出来ますが、教員がやることが多いと思います。

 

パートが2~3であれば可能と思いますが、パート数が多くなればそれも限界です。

私は音楽楽譜作成ソフトを使ってスキャナーで楽譜を取り込んで、

パートの音源を作って児童・生徒に聞かせて音取りをさせています。

 

DTM関係のソフトは金額が高いものが多いですので個人で購入するのは大変ですが、学校関係者(教員等)はアカデミック版(学割)が使えるので比較的お安く購入できます。

 

私が使っているものは「スコアメーカー」といいます。

詳しい内容はカワイさんのサイトで確認してください↓

KAWAI コンピュータミュージック 製品トップ

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今回の記事は、楽譜をスキャナで取り込んで楽譜をPCに認識させるさいの、

パート譜からスコアを作る

・打楽器の音の設定

について書きます。

 

昨年までの勤務校では、スコアメーカーpro8を使っていましたが、

うかつにもパート譜からスコアを作ることはできないと思い込んでいました。

 

なのでスコアをスキャンして取り込み認識させていました。

この方法だと認識エラーを修正するのにスコアと見比べなければならないので時間がかかっていました。

ちなみに昔使っていたスコアメーカー3では元の楽譜の画像が参照できないので、

実際の楽譜を見ながらの作業で煩雑でしたが、最近のバージョンでは打ち込みのすぐ下に元画像が見られるようになっていて便利です。

 

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2つ以上パート譜を作成したら、増やしたいパート(貼り付ける方)を表示させます。

 

次に選択カーソルにしパート名をダブルクリックしてパート全体を選択します。

(色が変化しているところですよ↓)

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ツールバーのパート→パートのコピー

スコアの楽譜を表示させて初めの小節をクリックしてから、

ツールバー、パート→コピーしたパートの追加/挿入をクリック。

 

これでパートが増えているはずです。

注意としてはパート数が同じでないとだめなので、

まとまった休符等の場所がずれている楽譜を挿入するとずれてしまいます。

ですので小節を切りなおして、1小節ずつ全休符を打って整えてくださいね。

 

次は打楽器の音色設定です。

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ボンゴなどの打楽器では音高が定まっていないですが、ヘ音譜表で記述されますね。

これを音色だけ設定しも同じ高さの音がなってしまうのです。

 

なのでこういう場合は「ドラム譜」を使って設定します。

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設定方法は、ファイル→楽譜の設定

ウインドウが開いたら、右上の新規をクリックして

セット名を分かりやすい名前に変えます。

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設定したい音符をクリックして、「割り当てる楽器」で

使いたい音色を選択してください。

次にパート譜のパート名をクリックしてプロパティで音色を設定します。

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「ドラムセット」のプルタブで先ほど作ったドラム譜のセット名を選んでください。

パート譜だけでしたらこれでOKですが、スコアに張り付ける場合は設定が引き継がれないのでもう一度設定をしなければいけませんでした。

 

私自身まだまだスコアメーカーを使いこなしていませんが、

大変便利なツールなので使ってみてくださいね。

 

 

 

「生命のいぶき」の指導について  

音楽教育芸術社 5年の教材の「生命のいぶき」 

杉本竜一作曲

合奏の編曲、橋本祥路

 

パート:鍵盤ハーモニカ、ソプラノリコーダー、鉄琴、キーボード、ピアノ

 

音源は模範演奏とピアノ伴奏のみの二種類です。

 

鍵盤ハーモニカは思ったより表現力が有る楽器なので、

表情豊かに演奏させたいですね。

 

まず児童には全体の演奏を聴かせてから、

階名を記入させてその間に、ピアノ伴奏の音源に合わせて演奏して聞かせます。

 

試しに録画してみたので参考にしてください。

1フレーズ目は特に表情を付けずに吹き、

2フレーズ目に表現を付けるように心がけて演奏しました。

 

 

ピントとリズムが甘いのはご容赦ください。

 

鍵盤ハーモニカは作音楽器ですから、

吹き込む息で表情が変化します。

 

 

ついでにリコーダーパートも録画してみたので参考までに。

 聞き直してみるとピッチが伴奏よりも高いですね・・・

 

児童が鍵盤ハーモニカとリコーダーの音取りがだいたい出来たら、

男女交互などで分けながら合奏すると楽しいですよ。

 

音楽会に向けての合奏練習のウォーミングアップなどに良いと思います。

 

教育基本法って大事だよな

学生時代には教員採用試験のための勉強として、

教育法規等を学んだものですが、当時は

「そんなもの覚えたって役に立たないよ」

などと馬鹿にしていたものです。

 

 

まあ、だから管理人は正規採用になれないのですが・・・

 

しかし、現場ではこんなことが起きるのです。

 

忘れ物を注意したらその児童の親から、

「忘れ物をしてはいけない法律が有るのですか?」

 

・・・

 

社会の常識ですら理解してもらえない親が存在するのですね。

 

 

しかしちゃんと法律で決まっています。

 

 教育基本法です。

これは法であるから義務教育を受ける児童・生徒には守る義務があるし、

その親権者には子どもに守らせなければいけない。

 

(教育の目標)
第二条  教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
 
 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

 

第二条の一に「真理を求める態度」、三に「責任」とあります。

 

教育法規は現場の教員の行動の指針となるもの。

 

しっかりと持ち歩いて児童を指導したいです。

 

 

 

教育出版 4年 新教材「プパポ」 は一粒で3度おいしい♪

教育出版の新しい教材「プパポ」の指導

 

 

2部合唱で

前半は模倣

後半は問いと答え

最後にハーモニー

 

となっている。

 

最初のクラスを指導した時には、それぞれのパートを指導して、

発展で上パートの階名を書かせリコーダーで演奏させた。

 

教科書には上下パートの関係を考えさせる設問が載っていたので、

後のクラスの授業で指導してみた。

 

教科書では前半の最初の模倣の部分に「ネコ」の絵がついていて、

半の部分の最初に「魚」の絵がついている。

 

「模倣」と「問いと答え」は3回繰り返されるので、

『ネコちゃんと魚ちゃんが後4匹づついるので探しましょう』と問いかけた。

 

そうすると最初は何をして良いのか分からずに途惑う児童もいたが、

机間を回ってヒントを与えると、気がつき理解していない児童に

教えてあげるものも出てきた。

 

板書でネコの絵を描いて、

「先生みたいに上手に書いてね」

けして上手ではない絵を見て児童の中には微妙な表情を見せる子もいる。

「上手でしょ」などと冗談を言うと、机間巡視の時、自分の絵を自慢したりする子がいるのでポジティブにコメントをして回ると良い雰囲気になる。

 

答えを提示した後、CDで確認作業を行う。

 

この作業をしてから下のパートを練習すると曲の構成が理解しやすくなる。

 

時間に余裕がある場合は、右ページ新出の音符等が記述してあるので、

教科書の該当の音符に丸を付けさせ読み方を書き込ませたい。

 

教科書にいろいろ書き込ませることで学習の足跡を残して、

で振り返ることが出来るし、楽譜に対して積極的向き合う態度を

身に付けることが出来るであろう。

 

 

 

 

新年度を迎えてやるべきこと バンドの新入部員獲得のために

中学校の吹奏楽の場合は新入生を確保することが難しい場合が有りますね。

 

足立区の場合は、学校選択制のため、

部活動をやりたいがために進路を決めることも出来ます。

 

従って吹奏楽をしっかりやりたい児童は

吹奏楽部が「強い」中学校選ぶことが出来る。

 

その中学校の吹奏楽部は自動的に入部希望者が集まり易い訳です。

 

しかし一般な中学校の吹奏楽部では、

4月に部員募集のための取り組みをしなければ部員が集まりません。

 

部員募集の取り組み

・新2・3年生に声を掛けて出身小学校の後輩を勧誘させる。

・ポスターを書いて校内に掲示(学校によってルールが有るので確認してから)

・ミニコンサートを行う。

・体験期間に2、3年生を新入生のクラスへ行かせ声を掛けさせる。

・入部希望者に友達を誘わせる。

 

 

小学校では4年生から参加することが多いです。

 

中学校の様に勧誘活動を行わなくとも比較的入部者は確保出来ます。

 

それは小学校ではクラブ活動が多くないので、

本来運動のクラブに入りたいが該当のクラブが無いなどと選択肢が少ないので、

とりあえず音楽のクラブに入ろうとする児童もいるからですね。

 

ですからその子たちは中学校に進学しても

音楽の部活に入らないことがある訳です。

 

小学校の活動では音楽の楽しみをしっかり味わわせること、

中学校では活動の魅力をしっかりアピールすることが大事なのではないでしょうか?

 

 

余談ですが、東京都の教員採用試験、音楽では、

【小・中 音楽】【中・高 音楽】という採用枠になります。

【小・中】で採用された場合、移動は採用された免許状と教科になります。

 

ですから小学校音楽で採用された方は、是非中学校にも、

中学校で採用された方は小学校も経験されると良いです。

 

小中連携と言われていますが実際のところ経験してみないと分からないことが多いです。

 

複数の校種を経験して最終的に自分のやりたいことを見つけるのが良いと思います。

 

 

 

 

 

 

音楽室に机は必要か?

私の見聞きした経験によると、

音楽室で机を使っているのは中学校ではほとんどの学校、

小学校では逆に使わないことの方が多いようです。

 

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足立区の全小学校(69校)で確認した訳では無いですが、

研修等で伺った学校の大部分は机無しでした。

 

それでは筆記したりリコーダーで教科書を見たりする時にはどうするのか?

 

 

椅子を机代わりにするのですね。

自分は床に座って椅子に教科書などを置いてみる訳です。

 

 

小学校の経験は3校目ですが前任二校では、二年目に机を入れていました。

 

しかし今回は何年居られるか分からないので、

早速管理職に相談して音楽室に入れました。

 

その時運ぶのを手伝ってくれた児童が、

「(音楽室に)机が入るの?うれしい」

と言っていました。

 

もちろん全児童が喜んでいる訳ではないでしょうが、

机を導入する苦労が報われたような気がしました。

 

音楽室では、金管バンドの練習も有るため、

バンド練習に少し差しさわりが出ます。

 

それでも授業優先ですので我慢していただくことに。

(指導をボランティアのかたにお願いしているので)

 

 

皆さんは音楽室の机どう思いますか?

 

 

初めての児童生徒への音楽指導について。

小学校・中学校の音楽科は行事ごとに、

校内全体の歌唱指導などを行うことが多いですね。

 

特に今回は赴任して初めて、児童生徒に対する時の、

歌唱指導について書いていきます。

 

今回私は、足立区の小学校にこの(H27年度)4月に赴任しました。

私鉄の駅から徒歩2〜3分の立地で、

児童数が非常に多く、4クラスごと有るマンモス校です。

 

新学期、入学式の準備で新6年生が登校するにあたり、

体育館で歌唱指導を行う様に要請されました。

 

時間は10分ほどです。

 

最初の音楽指導で行いたいことは、

・児童に教員として好印象を抱かせる。

・音楽科としての指導の方向性を示すこと。

 

 

はじめに旧5年の担任より、児童に紹介されました。

体育館に4クラス整列している様は圧巻です。

 

児童の様子は引き継ぎで伺った通り、

良い雰囲気の学年のようです。

 

ピアノの位置が体育館の中程なので児童の向きを変えなくてはなりません。

 

大きな声で挨拶し合い、

「さあ、ピアノの方を向いてください」と声かけします。

 

足立区では行事の際には区歌を歌唱します。

 

まず区歌の一番を歌唱させます。  ↓足立区のサイト区歌の歌詞

 

http://www.city.adachi.tokyo.jp/hodo/ku/aramashi/profile/uta.html

 

初めての指導では児童も緊張していますから、十分な声量は出ないことが多いです。

 

今回も歌声は聞こえるが、歌っていないものも多い状況です。

 

大きな声を出させるコツの一つ。

歌詞の一部、今回は「えがおひとのわ」の部分を歌わずに言わせます。

 

一番の途中、(一番を歌い終わってからでも良いです)で伴奏を止め、

「はい、やめて!」

「大きな声を出す練習をしましょう」

自ら大きな声で、

「大きな声で言います、えがおひとのわ」

歌では無く、音読のように大きな声で言わせます。

 

その時に音節を意識させるためにイントネーションや、切れ目をはっきり言います。

 

中には怒鳴るような声で言う児童もいますが、

それで良しとします。

 

「大きな声が出ましたね」

「それでは今度は歌ってみましょう」

「♪えがおひとのわ」

「さん、はい♪」(かけ声は何でも良いです)

 

いわゆる「頭声発声」では無くていいです。

イメージは「音程がついた声」

 

いい響きは声が出て来てから作っていきます。

 

このような練習をしたことが無い場合(ほとんどがそうですが)

児童がきょとんとしていますので、

児童の列に手拍子をしながら入っていき、

「はいもう一度!」

何回か繰り返した後に、

「それでは、続けて歌ってみましょう」

 

児童の中を回りながら、口が開いていない児童の前などで止まりながら、

自ら大きな声で歌います。

 

歌っているか確認する意味で、

立ち止まって児童の目や口を凝視する。

児童の口の方に耳を向けたりします。

 

一番の最後の方になったら、

ピアノの方に戻り、

「さあ、続けて二番を歌いましょう」

と声がけして伴奏付けながら、歌唱させます。

 

校歌に関しては、

児童にテンポを確認するために声がけしたりコミュニケーションします。

 

 

時間が限られているのでテンポ良く行うことが肝要です。

 

 

このように指導することで、歌唱指導が単なる歌わせるだけでなく、

「歌い方などの具体的な指導を行う」ということを、

児童にアピールします。

 

また率先と声を出すことで児童に声を出すことの抵抗感を和らげます。

 

 

専門が声楽でない教員の方は歌唱を行うことに、

抵抗感などが有るかもしれませんが、

まず教員が率先と音楽する姿勢を見せたいものです。